<本論> 視線計測とアンケート分析を用いた、巻数の多い漫画と少ない漫画の比較

研究者:梅木 夕夏

検証、分析、調査実施情報

週刊少年ジャンプで掲載の堀越耕平さんの作品「僕のヒーローアカデミア(2018/11現在 既刊20巻)」と「逢魔ケ刻動物園(全5巻)」を実験に使用。
11人に対しアンケートと視線の計測を実施。

<アンケート内容>
以下「僕のヒーローアカデミア」は「ヒロアカ」、「逢魔ケ刻動物園」は「逢魔ケ刻」と略して表記する。また、スコアは11人の平均で、小数点第二を四捨五入して示す。
以下6問の質問内容に対してそれぞれ1〜5の5段階評価でスコアをつけ、その質問事項に関して、良いと思った点・悪いと思った点・フリーコメントという記述式の項目を設置した

①キャラクターの行動の印象は強かったですか?:ヒロアカ4.5/逢魔ケ刻4.1
②キャラクターの行動はわかりやすかったですか?:ヒロアカ3.9/逢魔ケ刻3.4
③キャラクターの欲求は強かったですか?:ヒロアカ4.2/逢魔ケ刻3.5
④キャラクターに感情移入できたシーンはどのくらいありましたか?:ヒロアカ3.9/逢魔ケ刻3.3
⑤キャラクターに対して好感が持てましたか?:ヒロアカ4.5/逢魔ケ刻3.5
⑥このマンガをもっと読みたいと思いましたか?:ヒロアカ4.8/逢魔ケ刻3.3

結果、上記の質問内容において、すべて巻数の多い漫画のほうが上回り、特に⑤と⑥は1pt以上差をつける結果になった。
アンケート結果から、長期連載には「キャラクターの好感」「もっと読みたいと感じること」が重要であり、次に、「キャラクターへの感情移入度」「キャラクターの欲求を強く感じること」が重要であるという仮説を立てた。

視線の計測データでは、基本的に吹き出しとキャラクターの顔を追って視線が流れていった。
吹き出しとキャラクターを比べた際、吹き出しは長い文章以外は時間をあまりかけなかったが、キャラクターは、特に初登場時や目立つ行動をしたとき・ピンチのときに、視線を止めて見つめたり、繰り返し見る動きがあった。また、同じ漫画の中でも、よく視線を止めて見られるキャラクターと見られないキャラクターに差があった。 キャラクターに対する視線の動きの中で共通してよく見られていたのは「キャラクターがリアクションしたとき(感情がわかるとき)」「キャラクターの行動原理がわかるとき(過去の話や、モノローグなどで考えがわかるとき)」だった。
また、変則的なコマ割り(キャラクターの絵がコマに被ったりコマを突き抜ける・横のコマ割りのラインがページ内で揃っておらず、ずれた段組のような状態で縦にも横にも読めそうなコマ割り)の際に読み返しが多かった。